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FalseIslandという定期更新型ゲームに参加中の、リコ・メルシェ(1227)の日記の保管とかPLの戯言とかです
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丸月黒丸の日 夢に消えた死闘 ~Divine Force~
(記録者:グラスレイ)



 依頼していた斧が届いた。
 試し切りの対象になるような木が近くにないため、
はっきりとした出来は俺の目ではよく分からなかったが、実戦に使うのに申し分ないことは間違いないだろう。
 このような武器を一日足らずで作り上げてしまう技術に俺は驚いた。
 だが、驚くべき点はその技術だけではなかった。
 その技術を平然と行ってみせたのが、何と女性だったのだ。
いや、こう書くと語弊があるな。至って普通の女性だったのだ。
 年の程は俺よりも少し下だろうか。見たところ色素が少ないようで、凄く白い肌をしていた。
 そういえば、アルビノは屋外での生活が大変だと聞いたことがある。
俺達にとって遺跡外は休息の場だったが、彼女の場合はどうだったのだろうか。
 ふと遺跡外で、サングラスやら何やらいかにも強盗しますよー、みたいな怪しい格好の人を見かけたことを思い出した。
こんな島の中だからと、その時はそれ以上何も思わずに通り過ぎたが、まさか――。
それが彼女ではなかったとしても、外見だけで人を判断してはいけない。
人に接するときの基本中の基本だ。今更ながら俺は反省した。
 おわびに今度機会があればパラソルでもプレゼントしてあげようか。
あ、でもパラソルは装飾じゃなくて武器に分類されそうな気もする。そうなると俺では作れないな。

 まぁともかく、鍛冶とは無縁に見えるその女性が、そのような素晴らしい斧を作れたことに俺は驚いたわけだ。
いや、鍛冶とかその辺関係なしに、彼女は韮からそれを作り上げたのだ。これが驚かずにいられるわけがない。
 韮とはアレだ。植物のアレだ。茹でても炒めても植物の。決して気合を入れても金属になったりはしない。
もしそんなことが出来たなら、今頃世界は錬金術で金やらプラチナやらがもっさりしている状態のはずだ。
歩行金属がその辺を歩いていたっておかしくない。

 彼女がどうやってこの斧を作ったのかは気になるが、深くは考えないで置こう。
人生、知らない方が幸せに生きていけることもある。
 ただ、そんな彼女にも不可能はあったようだ。
その斧から、尋常ではない臭いが漂っていた。韮の臭いだ。
 その斧を振り回すということは、イコールで韮の臭いを辺りに振り撒いているということになるのだろうな。
 正直、俺は遺跡内にそんな敵がいたら嫌だ。出会ったらもっと嫌だ。
戦闘の基本は、危険なモノか弱いモノのどちらかから潰していくことだ。
俺ならたとえ敵の群れの中にそいつがいても、まず第一にそいつを潰すだろう。
臭いモノには何とやらだ。

 俺、他の冒険者から狙われないかな。

 出来るだけおとなしくしておこう。斧の訓練はもう一つの斧でも出来るんだから。
むやみにこの臭いを振りまいて危険な状況を引き込む必要はない。
 ひとまずは韮臭い斧は地面に埋めておくことにした。そう、臭いモノには何とやら。目印を立てておけば見失うこともないだろう。
 このような処理をしなければいけないのもきっと数日の間だけだ。いずれ、この斧も紅く染まっていく。
その斧からはもう、血の臭いしか漂ってこなかった……」なんてフレーズ、ちょっと格好いいような気がする。
もちろん、最初は韮の臭いしか漂ってこなかったなんて誰にも言えないが。

 少し先のことを考えてしまったが、何よりもまずはこの斧を使いこなさなければならない。
韮だの血だの、臭いを気にする前に敵に勝たなければ話にならないからだ。
 平野は比較的弱い獣しかいない。それでも俺は苦戦するようになってきていた。
一昨日戦った山猫も、正直俺だけでは勝てない敵だった。
ぴょん大吉がそれと戦闘になった直後から、囮になってくれていたのだ。
見方を変えると食われかけていたとも取れる。
どちらにせよ、彼のおかげで俺は猫を狙うことに専念できた。
獲物を狙う獣を狙うことは、難しいことではない。
獣は必ず獲物の方向へ走っていくのだ。
進行方向さえ分かれば、俺の斧でも当たる余地は十分にある。
 ところで、「獣獲物」と10回言ってみてくれ。言えたところで何もないが。

 もちろん、囮となったぴょん大吉の負傷は酷いものだった。
犠牲を伴う戦法でなければ勝てない。何とも悲しいことだが、俺の実力ではそれが精一杯だったのだ。
 だが、いつまでもこのままでは、この島にいる他の冒険者達と本気で相対したときの結末が容易に予想できてしまう。
他の冒険者達がいつも味方とは限らない。
時には彼らと戦わねばならないときもあるのだ。

 そんなことを心配してしまうのは、彼らの実力をこの身をもって思い知ってしまったからに他ならない。
一昨日に行われた大規模な模擬戦闘、大乱戦。俺は自分の実力を試すために、それに出ていた。
だが、そこに集まった冒険者達はどいつもこいつも強豪ばかりだったのだ。
 ひょんなことから俺と組むことになったのは二人の子供達(顔と服装が似ていたから、双子かと思われる)だったが、
その子たちもまた、一般人とは離れた戦闘力を持っていた。
いや、持っていたのは単純な戦闘力だけではない。
手に持っていた人形が突然巨大化したり、槌を手に突然回転しだしたり。
つまり、単純な威力だけではなく、相手を威圧するインパクトも持ち合わせていたのだ。
 要するに、俺のように地味な攻撃を当てていくだけでは大した効果はない。
戦闘はただの殴り合いではないからだ。
相手の心を揺さぶり、その揺らぎに渾身の一撃を叩き込む。
あの子たちは、それを分かっていた。のだと、思う。

 そんなわけで俺は考えた。どうすれば敵の度肝を抜くような攻撃が出来るだろうかと。
 幸運なことに、おれは一つのヒントを得ていた。
それは大乱戦の前に見た大乱戦の夢だ。
俺はよっぽどそれを楽しみにしていたのだろうか、三回も大乱戦の夢を見てしまった。
子供じゃないのだから、そんなに期待しなくても良いというのに。
 そんな夢の中で、俺は斧を投げてくる相手と戦った。
斧は振る物だと思いこんでいた俺にとって、それは斬新なアイデアだった。
もちろん動揺した俺にその斧は直撃した。痛かった。
 その夢はきっと神のお告げに違いない。
そう考えた俺は、すぐに投げやすい斧を依頼した。
それが先程地面に埋めた斧だ。
とりあえず訓練をしなければいけないので掘り出してみた。

臭った。

 マラソンという物は一度歩いてしまうと再び走り出した時に辛くなる。
それと同じように、臭いという物は一度離れてしまうと再び嗅いだ時に泣きたくなるようだ。

 臭いのことはひとまず忘れよう。
 依頼する際、斧を投げた後に拾いに行くのは不格好だと俺は考えた。
その為投げても戻ってくる構造にしてもらったのだが、果たしてうまくいっただろうか。
 確かめる為に軽く投げてみた。
 すると、それはブーメランのように回転しながら、綺麗な弧を描いて空を飛んだ。
舞うように空を旋回しながら、俺の方向へ戻ってくる。
くるくると回りながら戻ってくる。
くるくると。
くるくると。

 怖くて避けた。
あんなもの、どうやって受け取ればいいのか分かるはずがない。
ちょっと受け取るタイミングを間違ったらザックリじゃないか。

 俺に止められなかったそれは、その勢いのままどこかへ飛んでいってしまった。
さようなら、韮くさいの。君の臭いは一生忘れない。

 と、涙の別れを送りたかったところだが、悲しいことにそれは許されなかった。
作製してもらった初日に無くしましたー。なんてとても言えないし、
俺自身投げられる斧を必要としていたからだ。
新たに作ってもらう材料もないので、取りに行かなければならない。
 そう思った時だった。
俺の耳に、猫の鳴き声が聞こえてきたのだ。
その声は先日俺が倒した猫のものだった。あれ以来どういう訳か俺の後を付いてきている。
 まったく、どうして俺はこうも倒した相手に好かれるのだろうか。
それ自体悪いことではないのだが、何だか変な感じがする。
 その猫はじっと俺の目を見つめていた。何かを期待する目だ。
俺に一体何を期待しているのだろう。
悩みながら斧が飛んでいった方向を向くと、何と猫はそっちに向かって全力で走りだしてしまった。
まさか、取りに行ってくれたのだろうか。

 そんなまさかに期待しながら、俺はこうして日記を書いてその猫を待っている。
 俺がそんな期待を持つのには訳がある。
昨日もあの猫は俺の前に現れたのだが、その時に猫はこの日記帳を口にくわえていたのだ。
きっと遺跡外に戻った弾みで落としてしまったのだろうが、それをその猫が届けてくれたことに心底驚いた。
まるで俺がそれを無くすと困ることを分かっているよう

 日記無くして困るんだろうか、俺。
まぁ困ることにしておこう。

 ともかく、困ることを分かっているようだった。
こんなに賢い猫はそれまで見たことがなかった俺は、二度目もないだろうかとこうしてその猫を待ち続けている。
 しかし、猫が走っていったのはこの日記を書く直前だったが、未だに帰ってこない。
やはり猫には俺の願いは伝わらなかったのだろうか、
それとも斧が重すぎて持ってこれないのだろうか。
それとも斧が臭
それとも何か酷い目にあったりしているのだろうか。
不安になった俺は、結局その猫を探しに行くことにした。

 そう言えば飛んでいったあの斧、誰かに刺さってたりしないと良いのだが。
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