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FalseIslandという定期更新型ゲームに参加中の、リコ・メルシェ(1227)の日記の保管とかPLの戯言とかです
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丸月三角の日 不思議の国のグラスレイ



 俺が出会ったのは、一匹の白い兎だった。何の特徴もない、どこにでもいるような野兎。どうやら俺を見て怯えていたらしい。その小さな体を精一杯使って俺を威嚇していた。それまでの道のりでは妙な生き物しか見ることができなかったが、普通の動物もいると言う事実に俺は安堵した。
 しかし、何というべきか。このような小さな動物と戦うのは気が引けた。ただの動物虐待にしかならないじゃないか。
 普段なら敵の数にも入らないこの白兎、俺はどうして相手にしようとしたのだろう。今更考えても思い出せない。赤い糸か何かで繋がれてでもいたのだろうか。兎と繋がれててもあんまり嬉しくない。
 ともかく、俺は直接武器で攻撃することを躊躇ったわけだ。そこで俺は考えた。接触せずに戦いを終わらせる方法はないものかと。一つだけ、方法があった。
 チャーム。それはこの遺跡で俺が唯一使える技。ただ、その時点で俺はその技の使い方を知らなかった。うん、使えるのに使い方を知らないとか、理不尽というか無茶苦茶だよな。そんなときに自分を納得させる言葉を唱えよう。
 まぁ、りすだし。
 ともかく、チャームというぐらいなのだから相手を魅了させればいいのだろう。そういう結論に辿り着いた俺は、その技を発動させるべく「かっこいい顔」をした。
 兎が吹っ飛んだ。
 そのまま顔を維持していると、着地する前にもう一度吹っ飛んだ。
 技は成功した。地面に打ちつけられた兎はもうボロボロだった。でもなんだろう、納得できない悲しさに襲われた。
 どう見ても俺のかっこよさで飛んだ様子じゃなかったよな。俺もそこまで自惚れちゃいない。ふと見れば、兎は俺に生まれた隙をついて逃げ出していた。戦いはまだ終わってはいない。俺は止めを刺すべく、その白兎を追いかけていった。心を深く傷つけられた分、今度は容赦ない一撃を食らわせてやる。
 だが、気がついたら鬱蒼とした森の中だった。


 今も火の玉とかが俺の周りをふよふよしているが、気にしないで放置してみる。兎も見失ってしまったところで、昨日の続きで俺がこの島に来た経緯を書くとしよう。気分転換も大切だ。嫌なことはきれいさっぱり忘れてしまおう。
 念のためあらすじを書いておく。
 船の中で教えて貰った火の魔法がくるくる回って極太ビームでばたんきゅー!

 ドアを蹴破る音で俺は起こされた。焦点の合わない目で天井を見上げていると、突然目の前に剣の切っ先が現れた。さっき甲板で喋っていた女剣士だった。その後ろには船員やら屈強そうな奴やらがいた。何だか俺が尋問されいてる。自分の部屋の状況を考えればそれは当然だった。なにせ床にぽっかりと大きな穴が空いていたのだから。
 曖昧に受け答えしていると、どうやら俺は事件の被害者ということに決定したらしい。その場で話を聞いていると悪魔が出ただのそんな風に事件が動いていった。この場合本来悪魔に当たるのは魔法で穴をあけた俺になるはずだよな。……これはきっとあれか。この間買ったお札付きの斧のおかげだったのだろうか。きっとこのお札は自分に降りかかる不信感を振り払う効果があるに違いない!
 そうこうしているうちに、足下が冷たいもので覆われた。よく見ると、穴から海水が吹き出している。このままいると船が水浸しになるよな。
 とりあえず俺の部屋は閉めきることになった。最低限必要な物を持ち出して、いろんな物で蓋をした。これで水が船の中に入ってくることはないだろう。被害は最小限に抑えられた。
 落ち着いたところで他の乗客達をどうするか会議になった。悪魔が出たことになった訳だし、早急に逃げて貰わないとダメだろう。悪魔に襲われてもダメだしな。うん、そういうことにしておこう。
 その船にいた船員が結構有能だったので、混乱もなく乗客達はボートに乗ることになった。スムーズに行きすぎてもう細かいことは覚えていない。人間の記憶力って適当だよな。とりあえず覚えているのは強そうな奴は最後に降りることになったぐらいか。突然悪魔が船の中から現れないとは言い切れないし。そうだよな、うん。もちろん俺も戦えそうな人ということで残されてしまっていた。
 ようやく一般人がボートに乗り終えたと同時に、突然男の呻き声が聞こえた。右腕に包帯をぐるぐる巻きにした男だ。たしか昨日甲板で見たよな。その時から妙な雰囲気醸し出してたよな。
 そいつは奴等がまた近づいて来たとか呻いていた。俺の直感が叫んでいた。これは厄介なことになる、と。
 落ち着いたところで話を聞いてみると、そいつは小さく呟いて沈みゆく船内に消えてしまった。何でもその眼を持たない者には分からないらしい。分からないことを伝えるために、俺達は言葉というモノを持ってるのではないのだろうか、と言ってやった。
 だがそんな俺の名言を消し去るかのように、何と船長が解読に成功してしまったのだ。どうやらその右腕は悪魔が近づいてくると反応して痛みを発するらしい。俺、凄く反応されてた?
 ついでなのでどうして船長があの一言で理解できたのか訪ねてみた。何でも船長も若い頃はその眼を持っていたのだそうだ。第三の眼って、簡単に着脱できるモンなんだろうか。今度拾ったら後ろが見えるように後頭部に付けてみよう。そう考えるとわくわくしてきた。
 そんなことを考えてると、突然船が大きく揺れた。空は快晴、波は穏やか。一体何がこの船を揺すっているのか。
 船の外を見てみるとボートがあった。
 彼らは船から遠ざかろうとしていた……1。
 この世界では「ミサ・イール」飛行法が流行っていた……2。
 「ミサ・イール」飛行法は進行方向逆向きにレーザーを放つ……3。
 1,2,3より、この船はレーザーの集中砲火を浴びている!(Q.E.D.)
 沈むだろ、この船。
 しかもこの期に及んで戦闘できる人らはこの被害を悪魔のせいにして憤っている。船の中より外を見ろよと言いたかった。でも雰囲気的に言えなかった。俺の馬鹿。
 結局、そいつらの思いこみやら諸々で話が進んで悪魔討伐隊が結成されてしまった。もちろん俺もいつの間にか入れられていた。
 全ての真相を知っている俺は、まじめに悪魔を探そう何て思わない。他の奴らと適当に情報をやりとりしながら、船の中をブラブラしていた。
 それは俺が船長室にいたときに起こった。
 俺にレーザーの魔法を教えたあの魔法使いが俺に話しかけてきたのだ。そいつは素で教える呪文を間違ったと弁解した。魔法使いは信用できなくなった。あえてそれ以上問い詰めなかったが、どうにもそいつは悪びれた様子を見せず、にこにこと笑ったままだった。魔法使いってこんな奴らばかりなのだろうか。
 そんな風にいらいらしていると、また別の奴が船長室に入ってきた。昨日甲板で見た女剣士の相方だ。そいつはその時でも運のなさそうなオーラを放っていた。暫くそいつの様子を見ていると、女剣士がいないのを良いことに突然剣士の愚痴をこぼし始めた。突然すぎて驚いたが、あまりの境遇に涙した!
 一通り愚痴が終わると、少し顔に笑みが浮かんだ。何でもそんな酷い生活ももう終わりらしい。この船での戦いが終わったら故郷に帰って、村の娘さんと結婚するのだそうだ。
 何だか、酷い生活と同時にいろいろ終わってしまいそうだった。
 まさかそんなことはないだろうと祝福してやると、一緒に話しを聞いていた魔法使いが奇遇ですねと笑った。何が奇遇なのかと振り向くと、そいつは口を開いてこう言ったんだ。実は私ももうすぐ結婚するんです、と。
 こいつらの末路を思案していると、下の客室が沈んできたのか、ぞろぞろと残っていた奴らが船長室に入ってきた。狭いと思ったが、俺はすぐには逃げることが出来なかった。何故なら、そいつらが次々に自分にも婚約者がいるなんてことを口走り始めたからだ。どうやら船長室での会話は、船内放送で全て聞かれていたらしい。
 それにしても赤信号もみんなで渡れば理論だろうか。船長室は危険な旗でいっぱいだった。
 いくら何でも狭いので甲板に出ることになった。するとそこには女剣士が仁王立ちで立っていた。バックはのどかな海だったはずが、まるで嵐の中にいるのような錯覚を受けた。凄い気迫だった。先ほど運のなさそうな男がこいつの愚痴を船内放送で流したことを思い出し、心の中で黙祷を捧げた。
 そんな風に俺達が固まっていると、そいつはとんでもないことを言い出した。何でも俺達が結婚だの何だのとはしゃいでいたから、自分まで婚約者がいた気がしてきたのだそうだ。それは「気がしてきた」んじゃない、ただの「妄想」だ。思い切り突っ込みたかったが、周りが祝福し始めたので言えなかった。この船に残ったのは度胸のある人ばかりじゃなくて恋人持ちの変人ばかりだったのか。
 その流れで俺も婚約者がいることになってしまった。何故だ。
 そんな風に和気藹々としていると、再び包帯の男が苦しみ始めた。どうやら悪魔がこの船を沈めようとしているのを察知したらしい。ここに来て俺はようやくこの男を信じる気になった。これだけ苦しんでいたのだから、この船に悪魔がいたのは真実だったのだろう。
 きっとその悪魔はお金が無くて密航してたんだろうな。俺が変なことやらかしたから、無実の罪で探されて、どうしようもなくなってこの船を壊そうとしたんだろう。貧乏な悪魔に小さく謝罪した。
 俺達がどうするべきか焦っていると、包帯男と船長が最後の手段だといって俺達に先に逃げるよう言った。
 何でも、二人で協力して強力な魔法を放つことにしたようだ。ちなみにこれ言ったの二人だからな。俺が作った洒落じゃないからな。
 その強力な魔法というのが、一瞬でこの船の周囲の大気ごと氷結させるというものらしい。相手は死ぬ、って二人が言ってた。
 そんな技に巻き込まれてはひとたまりもない。他の奴らは皆急いで船から飛び降り始めた。俺を含め何人かは二人を説得してみたが、二人の意志は硬かった。無茶、しやがって……。
 そんな風に二人の未来を悲しんでいられたのも一瞬だった。海に飛び込んだ直後、おれは斧を背負っていることに気づいたのだ。いくら軽くてもこれは沈むよなぁ。考える間にも体はどんどん沈んでいく。沈みながら斧を捨てようともがいていると、突然背中が引っ張られた。
 まさかこの斧、お札の力で水にさえ浮かんでしまうのか。気合い30%OFFのくせに随分と頑張ってくれる。そんな風に驚いている間に水面に顔が出た。
 お札の力に感謝しつつ、他の奴らがどうなったのか見回してみた。周りには誰もいない。船さえも、なかった。
 何故か遠くに小さな孤島が見えた。船の上では陸も見えなかったはずなのに。
 あぁそうか。暫く経って俺はようやく気づいたのだ。
 俺、神隠されたんだな、と。


 ――結局、あの船と船に乗っていた人々がどうなったのか、俺は知らない。
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