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FalseIslandという定期更新型ゲームに参加中の、リコ・メルシェ(1227)の日記の保管とかPLの戯言とかです
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 今、私の頭上には満天の星が競うようにして煌めいている。
謎の侵入者達が乗り込んできて以来遺跡に籠もっていたので、星を見たのは一体何日ぶりになるだろうか。
普段は何も感じなかったその光も、建物の中に慣れた目にはとても美しく見えることに気づいた。
 この感動を忘れぬよう、地面に落ちていた紙切れの集合体に残しておこう。



丸月ダヴィデの星の日 星に願いを
(記録者:ぴょん大吉名もなき野兎)



 予想外、と言うべきだろうか。
遺跡の外ではあの凶暴な侵入者達も、自らの傷ついた体を癒すために必死なのだろうか。
彼らの中に私を狩ろうとするものは一人もいなかった。
侵入者達との交戦を避けるため、遺跡内に避難した私の判断はどうやら間違っていたしい。
凶暴な獣と侵入者、両方から身を隠す羽目になったことを思うと、自分の判断の甘さが憎くなった。
とはいえ、結局は今こうして安全地帯にやってこれたのだからまだよしとしよう。
あの赤い髪の侵入者に少しだけ感謝しておくことにする。

 私はその侵入者に連れられて遺跡外へやってきた。
正確には彼の巻き添えを食らって、と加えるべきだろうか。
細かい事情は私自身満身創痍の状態だったので覚えていない。
大方彼の「仲間」と見なされ遺跡外へ放り出されたのだろう。
この遺跡はそんな理不尽な力で満たされている。
ただ、どうして私が彼の仲間と見なされたのか、少し前のことを思い返してみることにした。

 最初、私は敵として彼と戦い、そして負けた。
本来ならそこで彼の食料になっていたところだが、隙をついて私は逃げ出すことが出来た。
森の中を猛獣や昆虫から身を隠しながら、兎に角次の平野を探し求めた。
まさか森の中までで彼が追ってくるとは思わなかったが、
あの森の中に生半可な力の侵入者が、それも単身で乗り込むことはそれこそ自殺行為だった。
彼もまた、再び私と出会ったときにはボロ雑巾となっていた。
 大きすぎて効率の悪い頭脳で私と戦おうとするからそのような目に遭うのだ。私は彼を嘲笑った。
おまけに、意識も殆どなかったからだろうか、壁に激突してなお歩こうとする彼の姿は滑稽としか言い表しようがなかった。
人間は何と愉快で愚かしい生き物なのだろうか。
暫くその様子を見ていると、とうとう彼は力尽きてその場に倒れた。
その時の彼に何の脅威も感じなかった私は、近づいて彼を挑発してみることにした。
 ところが気がついた彼は、どういう訳か草を私に差し出してきた。
もう敵と味方の区別すらつかないのだろうか。

 ここまで書いて私はある仮説に辿り着いた。
彼が私のことを仲間と間違えたために、私も彼と共に遺跡外へ連れてこられたのかもしれない。
私の意志が反映されないのは悔しいが、敗者の意志を汲み取るほどこの遺跡は優しくないのだろう。
そう考えるとこの不可解な出来事にも納得がいく。
尤も、これだけではまだ確信が持てないので、もう少し振り返ることを続けてみる。

 差し出されたその草をよく見てみると、なんと腐り始めていた。
人間というのはこのような悲惨な食べ物にさえ手を出すことに愕然とした。軽蔑の目線で突き返した。
 そこでふと私がある袋を持っていることを思い出した。
それはどうやら別の侵入者が落としていった食料らしく、文字を読んでみるとどういう訳か私達が食べるものと書かれていた。
人間達も草だけで生きていくのは無理だと判断したのだろう。
私達兎に近づくためにはまず食からという訳か。
 拾ったときに少し囓ってみたが、とても兎が好んで食べたいと思える味ではなかった。
 人間は本当にこんなモノを食べれるのだろうか。疑問に思った私は目の前のそれで試してみることにした。
結果は哀れなことだった。なんと彼はその謎の食べ物を美味しそうに口に含んだのである。
 私は開いた口が塞がらなかった。
かねてより人間という生き物の不可解な行動は、世界を旅して回る父母から聞いていた。
私達の同胞を小さな空間の中に閉じこめて食べ物を献上したり、身の回りを世話を進んで行うというのだ。
決してその閉じこめられた同胞と引き替えに何かを要求したり、同胞を食料として確保しているわけでもない。
全てが謎だった。私の頭脳では彼らが何を考えているのかさっぱり分からない。
まるで頭の悪い同胞が馬鹿をやっているのと同等だ。
人間のどれもこれもがそんな調子なのだから、不可解なことこの上ない。
 話を戻そう。結局彼は私が与えた「兎の餌」という食べ物を全て平らげてしまった。
その顔は非常に満足そうであった。
きっと彼はニンジンを食べたことがないのだろう。あの味を知らないとは、何とも可愛そうな生き方をしているものだ。
今度機会があれば一囓りぐらい分け与えてやろう。
ニンジンの味を知らないまま死んでいくなど、何のために生きていたのか分からない。

 さて、ここまでさんざん人間の愚かな部分だけを書きつづってきたので、少しは良い面も書き残しておいてやろうと思う。
ある一面からのみで物事を判断してはいけない。どんな生き物にも長所の一つぐらいは持っているものだ。
 単純に身体的な大きさ故だろうが、彼は力が強かった。
私では二、三度その攻撃に当たるともう立ち上がれないほど一撃が重かった。
ただ、彼本体の能力ではそこまで圧倒的な威力はだせなかっただろうと私は思う。
彼らの強い点はおそらく「武器」という物に依存していることだ。
自分の力で物事を解決しようとしない点は納得できないが、それも彼らの生き方なのだ。私がどうこう言うべきではない。
少なくとも昨日はその武器によって助けられたのだから。
 猫。そいつは私よりも遥かに高い戦闘能力を持っている私達兎の天敵の一つ。
私の同士も一体何匹猫達に食われてしまったか分からない。
一度私が指揮をとって彼らと戦ったこともあった。
だが、仲間達が私の言うことをはっきりと汲み取ってはくれなかったため、作戦は失敗に終わった。
私達の同胞とはいえ、あの猫を相手にして動揺するなと言うのは無理な話なのだったのだろう。
私に動揺したを纏める力さえあれば、あのような惨劇は起こらなかったはずなのだが。
自分の不甲斐なさを恥じるしかない。
いや、過去のことを悔やんでも仕方がない。私が立っているのは現在なのだから。
 話を戻そう。私達の前に現れた猫は、その名も山猫。
平野なのに山猫。森の近くなのに山猫。近くに山がないのに! 詐欺だ!
 さすがは猫と言うべきだろうか。堂々とした嘘で私達の動揺を誘おうという魂胆だったのだろう。
だが、彼にその作戦は何の効果も成さなかった。
あるいは何も考えてなかったからだろうか。
ともかく、動揺して本来の力を出せなかった私とは違い、彼は彼本来の力でそれと戦うことが出来ていた。

 もうこの辺りで止めておこう。これ以上他の種族を褒め立てると気分が悪くなってくる。
やはり兎が一番良い。

 それにしても、私はどうしてこんな無駄なことを書いているのだろうか。
ただ私がここに飛ばされた理由を考えるなら、紙に書く必要はないというのに。
よくよく今日の出来事を思い返してみると、どうやらこの紙切れを纏めた物を見つけてから調子がおかしいことに気づいた。
そう言えば、この沢山の紙切れ、昨日はあの侵入者が持っていたものだ。
彼もまた何かを書き記していたようだが、他の紙を見てみても何も書かれていない。
書く真似事をしていただけなのだろうか。つくづく人間の行動は分からない。
 よくよく観察してみると、どうやらこの紙切れからかすかに黒い力が感じられる。人間が魔術と呼ぶ力だろうか。
気づいたのは良いのだが、私ではその魔力が何なのか分からない。
こういった類の物は、それが求める通りの行動をとるとろくな目に遭わないことは分かっている。
危機が差し迫っているわけではないが、早くこれから離れるのが得策だろう。
この程度の魔力なら、そう苦労せず逃げることもできるはずだ。
例えば、あの赤い髪の侵入者。
彼が近くにやってきたら、もうこの魔力では私を捉えきれなくなるだろう。
言ってしまえばこれは弱い磁石、ちょっとでも引き寄せる物が重くなるとどうしようもなくなるのだ。
でも肝心の彼がいないではないか。

 この際他の生き物でも良い。そう思って辺りを見回してみた。すると簡単に見つかった。
 空に煌めく星々に紛れて、暗闇に地上の星がギラギラと輝いていた。二つ。
これは何かの目だろうか。暫く見つめ返していたが、その目はずっとその場から動かない。
 草むらに隠れているために、その姿がなんなのかもよく分からない。
だが、私を狙っていることだけは確かなようだ。殺気がヒシヒシと伝わってくる。
あの侵入者のように甘い戦意ではない。これは明らかに私を食おうとする気配だ。
よりによってそんな危険なものがやってこなくても良いのに。
向こうが私に触れるのと、この魔力が私を離すのとどちらが先だろう。
この紙切れを投げつければ、少しはそちらに注意を向けることが出来るかもしれない。
 それにしても、あの目の正体は一体何者だろう。出来れば足の遅い生き物であればいいのだが。
もしかしたら――今が夜であることから、一つの嫌な仮想が浮かんだがその可能性は低いだろう。
まさかこんな所まであの猫



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