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遺跡の中は一昨日と同じように異常な景色で覆われていた。 踏みしめた大地は青々とした草で覆われている。 少し向きを変えれば池なのか湖なのか分からないほどの大きな水地が鎮座している。 まるで現実の何処かをそのまま遺跡内の中に映し出したような場所だ。 見上げた青空の上には、ご丁寧に太陽や雲まで浮かんでいる。 あの雲、シャルロットに似ているな……。 そんなどうでも良い思考を浮かべながら、リコはシャルロットの背に乗った。 この遺跡は異常ではあるが、これだけ広いなら馬がいるのは好都合だ。 もしこれが小さな洞窟の中に作られた遺跡や、高い塔だったらどうだったろう。 そんなところにはシャルロットと共に入ることが出来ない。 つまりそれは探索不可。 シャルロットから離れて戦うなど、今の彼女には考えられなかった。 「森まであるのか……シャル、避けよう」 この遺跡がどれだけの大きさであるのかは分からない。 地下遺跡と言うことで、島の大きさぐらいだろうと思っていたが、この様子ではもっと広いのかもしれない。 それならば危険な地形を回避して進んでも奥には辿り着けるだろう。 馬の背に乗っている以上、森の中では戦いにくい。 そもそもリコの武器はそう言った地形で戦うことを全く想定していないのだ。 密集した木々の中でその武器はあまりに大きすぎる。 簡単な体術なら習得しているが、それでこの遺跡内の妙な生き物に勝てるかどうか。 「……シャルロット」 低い声で、小さく戒める。 そう、この遺跡には妙な生き物が多いのだ。 今歩いている平原にも、無数の植物が歩いている。 ……植物なのか、それとも人なのか。 遺跡外で聞いた話によると、あれは歩行雑草という名の生き物らしい。 雑草。 そう、シャルロットは草食だ。 歩行雑草の横を通り過ぎるときには必ず反応する。 あれは果たして食べられるのだろうか。 「我慢して。後でおいしい草をあげるから」 たとえ食べられたとしても、リコからしてみればその光景はグロテスクなことこの上ない。 あのシャルロットが動かない歩行雑草を頭から貪っていく。 想像しただけでも寒気がした。 だが、リコはシャルロットを信じていた。 彼女が望まないことを、シャルロットが行うはずがない。 再び雑草の方へ逸れかけた進路を正し、シャルロットの背を撫でた。 その後、草原を抜けられたのは不幸中の幸いだった。 歩行雑草は危険。リコは持っていたメモ用紙に強い筆跡で書き留めた。 PR |
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