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FalseIslandという定期更新型ゲームに参加中の、リコ・メルシェ(1227)の日記の保管とかPLの戯言とかです
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「シャル、あの場所に着いたら休憩しよう」

 視界の奥に映る、砂の中にポツンと立っている小さな岩を指さして、私はシャルロットの体を撫でた。
その提案に彼女は不服そうに嘶いたが、聞き入れる気はない。
 先日の戦いで彼女は負傷したのだ。
あのような森の中をがむしゃらに走って、無傷でいられるはずがない。
現に遺跡外に出たときにはその四肢は擦り傷だらけになっていた。
恐らく木々から突き出た枝を押しのけて走ったためだろう。
鬱蒼と茂る森は彼女にとって天敵だ。
ある程度人によって道が造られた森ならまだしも、自然そのままの森は危険すぎる。
恐らくこれ以降、私が彼女を連れて遺跡内の森を通ることはないだろう。



「この地に眠るのは全ての"偽"
 世界から失われた全て……」

 薄汚い石に刻まれた文字を復唱する。
妙に存在感のある岩だと思ったら、これは石碑だったのか。
近づいてみると、その異様さはよりはっきりとした。これは一体何を意味しているのだろう。
その言葉の意味を考えながら、私は背負っていた荷物を砂の上に下ろした。
いつもならシャルロットが背負っている荷物。
遺跡外で買い込んだ食料、戦うための武具、その他生活に必要なものと、そして私。
移動の時は必ず彼女の背にあったものは、今日は何もない。
鞍や手綱さえも荷物と一緒に私が背負っていたために、今の彼女はまさに生まれたままの姿なのだ。

「シャル、傷の具合はどう?」

 振り返りながらいつものように彼女に語りかける。
彼女の耳は、荷物を下ろすために屈んだ状態では全く見えなかった。
あぁ、怒ってる。
きっと彼女の仕事を私が全て奪ったからだ。
でも、荷物も私も、今の彼女の背には乗せられない。
傷ついた彼女の脚に負担を掛けたくはないのだ。

「もう暫くは我慢して。あなたが倒れちゃ意味がないの。
 あなたまで倒れてしまったら、私はどうすればいい?
 今の私にはあなたしかいない。
 私は……私はもうシャルが歩けるところまでしか、行けないんだから」

 彼女の首を撫でようと、腕につけたままだったガントレットを外そうとする。
その私の目に飛び込んできたのは、手の甲の部分が無惨にはぎ取られた、最早金属の残骸だった。
 この装備は私がこの遺跡の中で作りだしたモノ。
到底武器の材料には似つかわしくないモノから作り出した即席の武具だった。
どうしようもない物体から、どうしようもない技術で作られたガントレット。
たった一度の戦闘で使えなくなるのも無理はなかった。
本当にどうしようもない。
 無造作に留め具を外して、砂の上に放り投げる。
地面に落ちると同時に、それまで光沢を持っていた存在が砂と共に辺りに舞った。
場違いな草の匂いが辺りに広がる。
小さく悲鳴を上げて砕けたのは、薬の入っていたガラス瓶か。
"偽"。偽島。
この島に着けられた名と、先程の石碑の文章が頭を過ぎる。
 なるほど、あのようなどうしようもない物体から、ガントレットを作り出せること自体おかしかったのだ。
必要とされている間だけ、その形を偽っていただけ。
私が必要としなくなった時点で、その"偽物"の金属は元の姿へと戻ったわけだ。
本来の姿である草と薬品に。

 本当に、どうしようもない偽物だ。
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