× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 |
||
白馬の王子、と言う存在を皆さんは知っているだろうか。 私もこの島に来るまでその存在は知らなかった。 事実、その話を聞いたときには目を見張ったモノだ。 なんでも彼らは突然女性の前に現れて、嫁として彼女たちを連れて行くらしい。 それも誘拐などと言う危険な話ではない。 待ち望んだ女性の元にだけ、現れるのだそうだ。 「奇妙な話よね、シャル……」 王族が身分を問わず女性の元に訪れるというのは奇妙な話だ。 だがそれ以上に、この世界には一体どれぐらいそんな王子がいるのか気になる。 少なくとも、私の故郷にいた王子たちはそんなことはしていなかった。 いや、実際私は彼らの騎士ではなかったため、もしかしたら知らないだけなのかもしれないが。 尤もその王子たちがどうであったかなどは小さな話だ。 世界は広い。待ち望む女性の数だけ現れると言うことは、それだけ多くの王子が必要だと言うことだ。 もしかしたら、一国全てが王族で構成されていて、王子が何万と存在する国でもあるのだろうか。 そのような場合、一体誰が王になるのだろう。何だか争いが熾烈そうだ。 しかし。しかしだ。 それ以上に気になるのは、王子の数だけ白馬が必要と言うことだ。 本当に、それら全ての王子が白馬を手に入れられるのだろうか? 否、場合によっては白馬を持たない王子もいるだろう。 そのような彼らはどうする? 待ち続ける女性の元に辿り着けない。 きっと、奪い合うのだ。彼らは王になる以上に、白馬の王子に成らねばならない。 だからきっと、少ない馬を奪い合って、日夜血で血を拭うような争いが行われているのではないだろうか。 「もしも争いに敗れた王子たちが、それでも馬を諦められなかったら……」 新たな白馬を探しに来るだろう。 他の王子達がまだ見つけていない、白い馬を。 私はシャルロットのたてがみをぎゅっと握った。 もしかしたらこの先、そのような王子にシャルロットが見つけられる可能性もある。 彼らは求めるのだろうか。彼らを求める女性のために。 私の馬である彼女を。 そんなこと、許せるはずがない。 「シャル……私はあなたを守るよ。 白馬を持てない軟弱な王子なんて……追い返してやる」 シャルロットは誰にも渡さない。 たとえそれが王族や貴族だろうと、譲る気など更々ない。 彼女は私の分身だ。 同じ日に生まれ、いままでずっと同じ時を生きてきた。そしてきっと……。 私には白馬の王子など要らない。むしろ、シャルロットを連れ去るのならばそれは敵だ。 私はシャルロットがいるだけで満足なのだ。 いや、違う。 シャルロットだけがいることで、満足できるのだ。 PR |
||
この記事にコメントする
|
||