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「……嘘だ」 まるでこの世の終わりを見たような目で、リコは呟いた。 右手に握られている槍の先からは、透明な液体が滴り落ちている。 所々に緑色の破片が付着していて、特有の臭いを放っている。 そして、その反対側。彼女の左手に握られている物体は、他でもない、 彼女が遺跡外の露天で買い取ったのと全く同じ―― ――おいしい草。 「嘘だ」 もう一度、小さく呟く。 彼女の頭の中では、今までの行動が走馬燈のように蘇った。 遺跡外でおいしい草を並べていたふくよかな体つきのおばさん。 善意でそれを分けてもらった私。 遺跡の中で歩行雑草に惹き付けられたシャルロット。 それを必死で阻んだ私。 遺跡の中で歩行雑草と対峙したシャルロット。 それに誑かされないよう、事前においしい草を与えた私。 遺跡の中で歩行雑草を貫いた槍。 その戦利品としておいしい草を掴んだ私。 まさかあの草が。あの草があの筋肉質の緑色から採れるものだったなどとどうして予想できただろう! あの汚らわしいものを口にしないように、と与えたおいしい草が、 まさかその汚らわしいものの一部分だったなどとどうして予想できただろう! 「嘘だと……嘘だと言ってくれ、シャルロットォォォォ!!」 認めるにはあまりにも残酷な事実。 たかが歩行雑草、されど歩行雑草。彼らの真の脅威はその精神的ダメージにあるのだ。 歩行雑草嫌いな娘は、涙を流して走り出した。そんな事実など認めないと言うかのように。 後に残されたシャルロットは、小さくなっていく主をただ呆然と見つめていた。 落ち着いてから歩行雑草を味見した。 凄く筋肉質だったので蹴り飛ばした。 PR |
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