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丸月のフラットな日 あなたは"誰"? (記録者:レィレ) おはようございます、昨日の夜はよく眠れましたか? なんて、あなたが眠りという感覚を知らないことなど分かっています。 それでも少しだけ、あなたが何らかのリアクションを起こしてくれることを (淡く輝く赤い文字で、何重にも重ねられた文字が書かれている) そう、ですか。 あなたの知識の中から、一つを選ぶことは出来なかったのですね。 それだけ毎日を詳しく書き記した方がいたのでしょう。 分かりました。 それでは、一つだけ聞いても良いでしょうか。 あなたが答えられるかどうかは気にしません。 ただ、私の言葉を受け止めていただけるならば。 あなたは、どうしてガルドン、 いえ、他人を傷付けるような行動を起こしたのですか? 何らかの衝撃で、あなたの知識にある魔術を使わなければならなくなった、と言うことは分かっています。 でも、昨日あなたから感じられた魔力――ボロウライフ、と呼ばれる力でしたっけ――を見た限り、 あなたは自分の魔力をコントロール出来ていたように感じられます。 あれは、途中で発動を止めようとしたのですよね? そうでなければ、あんな妙な形で術は放たれなかったはずです。 ボロウライフのようで、決してそれになりきれていない何か。 始めは別の物として動いた魔力を、コントロールしてボロウライフに変えてしまった。 あなたはあの狼を倒そうとしたけれど、 始めにあなたの魔力をそのまま放っては無差別に命を吸い寄せてしまう。 それでは困る何か、理由があったのですよね。 (先程見た赤い文字が、薄く何かを書いている) あなたの知識では答えはありませんでしたか。 分かりました。では、いずれあなたが答えられるようになったときに。 それでは質問を戻しましょう。 自分の魔力をコントロール出来ているのなら、 ガルドンが耐えきれなくなるほど力を使う必要はなかったはずです。 どうしてそこまで、執拗に術をかけ続ける必要があったのでしょうか。 今日からはガルドンが突然光り出さないか注意することにしよう。危険すぎる。 戦うときは全力で。それが戦いに身を置く者の鉄則だ。 グラスレイは、余計なことを書いてくれましたね。 あなたに教えておきます。それは一つの考え方でしかありません。 そもそもあなたは戦いに身を置く物ではない。 全力で戦う必要も、そもそも敵に攻撃する必要もないのです。 仮にガルドンがあなたに敵と認識されるような行動をしたとしても、 あなたの能力なら、その認識を外すことが出来るはずでしょう。 敵の戦意を自分から逸らす。 他の命を惹きつける力は、戦意を失わせる力でもあるはずです。 グラスレイにこれだけ多くの獣が振り返るのは、彼の力だけではないでしょう。 それなのに、あなたにはそれが使いこなせなかったというのですか? 全て小さなことだ。 猫が兎を喰らうことも。 誰かが遺跡に棲む者を倒すことも。 誰かが遺跡に棲む者に倒されることも。 この遺跡の中ではいくらでも起こっていることだ。 彼は――どこまで。 それはグラスレイが作り出したただの言い訳です。 その理論であなたがガルドンを殺めたというのなら、それは大きな間違いです。 あなたに刻まれた文字が全て正しいとは限りません。 あなたの中には偽り、誇張、妄想、その他あらゆることが刻まれています。 その中から、正しい知識を見つけだして下さい。 あなたは正しいという基準を知らない。 私の願いが至難であることは承知しています。 それでも、あなたは見つけて下さい。 あなたには――いえ、私達にはもう、時間がない。 一刻も早く、あなたが準備を終えなければいけない。 あなたは、あなたに日記をつけてきた"誰か"の一人ではありません。 ただ今までに刻まれた文字をそのまま使っていてはいけないのです。 その文字を自らの意思で選ぶことが出来るようにならなければ。 PR |
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